「きことわ」・・・4♪
2011年 02月 25日
解体する家の片付けに・・・
この家を 行き交った人の姿が 伝聞であるのか
自分の目の記憶なのか 判別はできない。
一度だけ訪れた 葉山の冬の記憶も
蕎麦屋の鴨せいろ・・・ 黒糖饅頭・・・ ・・・ ・・・
自分の背後には死に際の自分が見ている
走馬灯の目があるという 子供だましの言葉と・・・
25年ぶりの再会も 百足(むかで)のおかげで
社交辞令の挨拶も ぎこちなさも 無くすんだ。
175センチの貴子・・・ 母親の享年に ならんだ33才!
152センチの永遠子・・・あの夏と 同じ身長のまま!
晩秋の葉山で二日間を 共有したふたり。
思い出の品々・・・記憶を手繰りよせても・・・ずれが・・・
「なんだか いろいろなことを忘れてる」
「きこちゃん ちいさかったものね」
「ありがとう」という 貴子のしめった息が 手首のうらにかかった。
ひとしきり 後部座席で ふれあい ふざけあい
髪と髪が からがりあい 貴子の体温や重みが迫った。
永遠子は かってみた夢に 会いに来ているようだと思った。